2010年12月20日月曜日

奥深く暖かき横丁スタイル〜ハーモニカ横町


横丁という響きにはどこか哀愁めいたものを感じる。
狭い路地に煌々と灯る提灯の明かりの中をトボトボと歩く・・・(完全にテレビドラマの見過ぎだが)。

じっくりとお酒を飲む大人の時間を楽しむシチュエーションとしては最高のロケーションでもある。


『ハーモニカ横町』はまさに、そんな雰囲気がたっぷりの横丁。
岩泉町のリングリングビルと整骨院の間にひょっこりと現れ、頭上のアーチは夕暮れとともにスポットが当たり文字が浮かび上がる。
アーチの看板は比較的新しいが、始まりは昭和20年代後半というから、かなりの歴史がある。
また、メインストリートの長横町からは駐車場の中を通ってくると紅白の提灯が出迎えてくれ、一気に雰囲気が変わるのはそこに立ってみないとわからない現象なのだ。


元々は焼き鳥屋や小料理屋さんが多かったというが、今ではエスニック料理やバーなど若き店主が営む店も増え、昔ながらの雰囲気を持つ店と幅広いジャンルになっている。


でもね、横丁の、しかも初めての店という
のは・・・なかなか入りづらいもんで、常連さんの視線とか、値段とか、注文の仕方とか−−。特に、昔からある店だったりすると、ひとりで入るにはかなりの勇気が必要だったりする。
そう、入るまでは不安でいっぱいなのだ、入るまでは・・・。


ハーモニカ横町にはすでに50年近く営む老舗中の老舗「こうちゃん」があり、「おばこ」は店を始めて40年、「九十九」は20年以上という重鎮の店。


初めは緊張のあまりちょっとぎこちなく会話が始まるが、それはほんの一瞬。 
カウンターだけの店内で、女将さんと差し向かえのシチュエーションで会話が弾まないわけがない。

『酒処 おばこ』


「昔は、岩泉町の道路がわに『しょんべん長屋』っていうのがあってね、そこに小さい飲み屋さんがいっぱいあったのよ。十勝沖地震(昭和43年)の頃まであってね。それから2年くらい経ってから今みたいな感じになったんだよ」
などと、昔の歓楽街の様子を聞けたりする。
ハーモニカ横町といえば、JR「大人の休日倶楽部」のCM撮影が行われたところでもある。
「あのときは厳戒態勢でね、この通りが封鎖状態だったんだよ!」裏話も弾む。



店内を見回して、メニューがなくても緊張する無かれ、
「今日は何がありますか?」
気軽に聞けば、
「今日は、あら汁があるよ」
これまた会話の糸口になるってもんです。
やっぱり、長く常連さんが通う横丁の店というのは、
それぞれに味わいがあって、女将さんも気さくで個性的。
そして、温かいんだよねぇ。
 外にまで笑い声が響く『九十九』
辛口な女将さんとの会話が面白い



こんな楽しい場所に来なかったなんて損してたな!と思えるのは、
大手チェーン店や大きな居酒屋さんとは別の独特の連帯感と心地よさがあるからかも。

女性ひとりだって気軽に入って飲める。
一見さんも常連さんも同じに楽しめる。
粋な飲み方を教えてくれる。
横丁っていいなぁ。



ちなみに、『こうちゃん』や『九十九』は開店が15時ごろからとかなり早い。
16時くらいには常連さんが一杯飲んでいたりする。
そこがまた、横丁の老舗の老舗たる奥深さ。

入りづらいのはほんの一瞬。
勇気を出して暖簾をくぐれば昭和の風情とゆったりした大人の時間が待っている。
色んな顔を持つ横丁は奥深く、温かいのだ!